都心「億ション」販売好調

都心で高額マンション(億ション)の発売が相次ぎ、好調な売れ行きを示している。三井不動産レジデンシャルなどが7月から売り出した東京・六本木の物件は第1期分の9割が売り切れ、住友不動産東急不動産の物件も堅調な販売が続いている。立地の利便性や充実した施設、ホテル並みのサービスなど差別化した特徴をアピールし、目の肥えた企業経営者など富裕層の資金の取り込みを目指す。

「立地の希少性、施設面、サービス面が評価され、販売は順調に推移している」。三井不動産レジデンシャルの北村秀晃都市開発一部主幹は、六本木で販売する地上39階建ての超高層マンション「ザ ロッポンギ 東京 クラブ レジデンス」(一般販売345戸)の販売動向に手応えをつかんでいる。実際、7月と8月に売り出した第1期分(95戸)についてはほぼ半数が1億円超だったにもかかわらず、ほとんど売り切れた。とくに2億6800万〜4億8000万円の最上階の7戸は販売初日に「完売」となるほどの人気ぶりだ。

東京メトロ日比谷線都営大江戸線の「六本木駅」から徒歩3分に位置する利便性と、専門スタッフが24時間常駐するなどホテル並みのサービス性が高い評価を受けているという。

同マンションのモデルルームにはすでに700組以上が来場し、大部分が1億円以上の部屋を希望するなど第2期以降の完売に同社は強い期待をかける。

一方、他の分譲大手が手がける億ションも好調だ。東急不動産が分譲中の「二子玉川ライズタワー&レジデンス」(東京都世田谷区)は、全物件(1033戸)の2割が1億円以上だが、8〜9割が売れた。「半数が8000万円以上だが、非常に好調」(同社)とホクホク顔だ。

住友不動産が販売している「シティタワー麻布十番」(東京都港区)も全502戸の半数が億ションだが「恒常的に毎月売れている」(担当者)という。三菱地所の東京・麹町と麻布台の2物件もそれぞれ半数以上が1億円超だが、こちらも堅調に推移している。

不動産経済研究所の調べでは、1〜6月の都区部のマンション平均価格(70平方メートル)は5479万円となり、前年同期に比べ7・5%上昇した。足下の億ションの販売好調が価格上昇のけん引役となっており、同研究所は「市況は高値で推移する」(福田秋生企画調査部長)とみている。