砂糖とカカオ豆の価格が高騰

国際市場で砂糖とカカオ豆の価格が高騰を続けている。
主要生産国での不作や新興国を中心とした需要増に加え
投機資金の流入も背景だ。
チョコレートの原料に両方を使う菓子メーカーはコスト増に悩み
2月のバレンタインデーを前に苦悩の色を深めている。


国内農家を保護するため砂糖の輸入業者から
調整金(内外価格差に相当)を徴収している
独立行政法人農畜産業振興機構によると
国際指標であるニューヨーク市場の粗糖現物価格は5日
1ポンド(453グラム)=28.19セントをつけた。
1年前の2倍以上で約29年ぶりの水準だ。


同機構は「最大の消費国インドが干ばつで輸入国に転落し
最大の生産国ブラジルも長雨で生産が振るわない。
需要は新興国を中心に世界的に増えている」と説明。
製糖業界最大手の三井製糖は1キロ当たり150〜160円程度で
推移してきた砂糖の販売価格を昨年8月に6円
10月に5円引き上げたが、業界ではまだ高騰が続くとの見通しが強い。
同社は「円高が追い風にはなったが、価格の急騰に追いつかない」と話す。


チョコやココアの主原料となるカカオ豆の先物価格も
昨年末のロンドン市場で1トン当たり
2200ポンド(約3500ドル)を超え、2年前の2倍程度に達した。
チョコレートのメーカーなどで作る日本チョコレート・ココア協会は
「主要生産国のコートジボワールの生産減が直接の原因だが
それだけでは説明できない上昇ぶり。
投機資金もかなり流入しているようだ」と分析する。


製菓最大手の明治製菓
新興国のカカオ需要増も相場の押し上げ要因で
仕入れコストは大幅に増えた」と苦い表情。一方の国内需要は横ばいで
08年4月には主力商品の「ミルクチョコレート」の内容量を
70グラムから65グラムに減らした上
小売業者向けの参考価格を105円から120円に値上げした。
しかし、不況で09年9月には再び105円に戻さざるを得なかった。


景気低迷の中、バレンタインデーにも低価格志向が浸透。
高級感のある贈答用チョコより自分で加工する
「手作りチョコ」が流行し
材料の板チョコに力を入れるメーカーが増えた。
女性同士が贈りあう「友チョコ」も定着している。
全体として安価な商品が歓迎される中
原材料費の高騰を売り上げ増でカバーできるかどうかが
商戦の鍵を握りそうだ。