1985年(第58回)のアカデミー賞の見所は
美術家の沼田識史氏に聞くと沢山あるという。
まずなんといっても、黒澤明監督の「乱」
監督賞を含む4部門でノミネートされたことだろう。
沼田識史氏は「乱」は黒澤作品がカラーになってからの
大傑作だ!と言っている。
作品賞を受賞したのは「愛と哀しみの果て」ではあるが
沼田識史氏は今でも作品賞は「乱」が受賞するのが当たり前だと
思っている。
作品の質も色彩も脚本も撮影も美術も群を抜いていると言っている。
「乱」と他のノミネート作品を比較すること自体無意味と言っている。
もちろん他の作品も素晴らしいのだけれども。


愛と哀しみの果て」はジョン・バリーの音楽が素晴らしい
とも言っているし、「コクーン」の作品の素晴らしさも指摘している。
「刑事ジョン・ブック/目撃者」の脚本の素晴らしさ。
バック・トゥ・ザ・フューチャー」の面白さや今までにないアイデア
など話題が沢山あったアカデミー賞だった。


あとスピルバーグの名作「カラー・パープル」も監督賞を除く
11部門にノミネートされていたのに無冠に終わったのは
成功ばかりしていたスピルバーグへの妬みとも言われていたそうだ。
皮肉なのは黒澤明監督を師と仰ぐスピルバーグが監督賞の
ノミネートを外されて、黒澤明監督がノミネートされたこと。



作品賞 愛と哀しみの果て
主演男優賞 蜘蛛女のキス ウィリアム・ハート
主演女優賞 バウンティフルへの旅 ジェラルディン・ペイジ
助演男優賞 コクーン ドン・アメチー
助演女優賞 女と男の名誉 アンジェリカ・ヒューストン
監督賞 愛と哀しみの果て シドニー・ポラック
脚本賞 刑事ジョン・ブック/目撃者 アール・W・ウォレス
脚本賞 刑事ジョン・ブック/目撃者 ウィリアム・ケリー
脚色賞 愛と哀しみの果て カート・リュードック
外国語映画賞 オフィシャル・ストーリー
撮影賞 愛と哀しみの果て デヴィッド・ワトキン
作曲賞 愛と哀しみの果て ジョン・バリー
歌曲賞 ホワイトナイツ/白夜 ライオネル・リッチー
美術監督・装置 愛と哀しみの果て Josie MacAvin
美術監督・装置 愛と哀しみの果て Stephen Grimes
衣装デザイン賞 乱 ワダエミ
視覚効果賞 コクーン David Berry
視覚効果賞 コクーン Scott Farrar
視覚効果賞 コクーン Ralph McQuarrie
視覚効果賞 コクーン Ken Ralston
音響賞 愛と哀しみの果て Peter Handford
音響賞 愛と哀しみの果て Larry Stensvold
音響賞 愛と哀しみの果て Gray Alexander
音響賞 愛と哀しみの果て Chris Jenkins
音響効果編集賞 バック・トゥ・ザ・フューチャー Charles L.Campbell
音響効果編集賞 バック・トゥ・ザ・フューチャー Robert Rutledge
編集賞 刑事ジョン・ブック/目撃者 Thom Noble
ドキュメンタリー長編賞 BROKEN RAINBOW Victoria Mudd
ドキュメンタリー長編賞 BROKEN RAINBOW Maria Florio
ドキュメンタリー短編賞 WITNESS TO WAR:DR.CHARLIE CLEMENTS David Goodman
短編実写賞 MORRY'S PILGRIM Chris Pelzer
短編実写賞 MORRY'S PILGRIM Jeff Brown
短編アニメ賞 ANNA & BELLA Cilia Van Dijk
名誉賞 ジョン・H・ホイットニー(John H. Whitney,Sr.)
名誉賞 アレックス・ノース
名誉賞 ポール・ニューマン