「チンしてこんがり魚焼きパック」

単身者や共働き家庭に絶大な人気を誇る小林製薬の「チンしてこんがり魚焼きパック」。今年9月に発売された同商品の開発を担当したのが、同社日用品事業部洗浄・家庭用品グループの十田哲郎(じゅうた・てつろう)さん(46)だ。

この商品は特殊なシートで魚の切り身をくるみ、約3分間電子レンジにかけるだけで、こんがりふっくらとした焼き魚が完成する仕組み。

「シート自体は冷凍食品などによく使われていたものでしたが、魚を焼くという発想は全くなかったみたいです」

2月に社内でアイデアを提案したところ、「これはいける」とすぐに商品化が決まった。しかも発売は秋。小林製薬では通常、新商品開発に13カ月かけるため、異例の短期間での開発が要求された。

「シート自体は既存品でしたが、魚を焼くのに適した形状を見つけるのが難しく、毎日50匹の魚を焼いて試行錯誤を繰り返しました」

魚に密着するようにシート中央に切れ目を入れるなど、細かい工夫を盛り込んで4カ月で商品化にこぎつけた。商品は魚焼き機の手入れやにおいを敬遠する単身者や共働き家庭などに受け入れられ、目標を上回る売り上げを記録している。

今年40周年を迎えた主力商品「ブルーレット」も担当。40周年の記念事業として、一般応募の親子と国立公園のトイレ清掃や、世界自然遺産へのバイオトイレ設置などを行った。「15年前に屋久島(鹿児島県)を旅したときのトイレに苦労した経験が生かされています」