<消化器がん>少量の血液で9割検出 

少量の血液から遺伝子群の変化を調べ
従来より極めて高い確率で消化器がんを診断できる方法を
金沢大の金子周一教授(消化器内科)らのグループが開発
19日に発表した。
血液を用いた従来の方法では癌を検出する確率は20%程度だが
9割にまで上げることができ、人間ドックや健康診断に導入すれば
早期発見につながる。
同大学は既に特許を出願しており、来年には検診に応用したいとしている。


金子教授らは、胃、大腸、膵臓(すいぞう)の消化器がんの
患者約50人の血液を解析。一定の遺伝子群に
働きが活発になるなど変化が見られることを突き止めた。
この遺伝子群に着目し、別の消化器がん患者53人の血液を
検査したところ、9割にあたる
48人の遺伝子群が同様のパターンを示していた。
検診で応用する際には、約800種類の遺伝子群に的を絞り
血液のRNA(リボ核酸)に蛍光試薬を加えて反応のパターンを調べる。
必要な血液は2.5CCで済み、結果は3、4日で出せる。


血液を用いたがん検査は従来、がんの発生で出現する物質
腫瘍マーカー)を調べる方法があるが、金子教授によると
検出の確率は20%程度という。
金子教授は「通常の血液検査と同じ方法で、がんが検出できる。
がんの早期発見に大きく貢献できる」としている。


遺伝子解析に詳しい「DNAチップ研究所」社長
松原謙一・大阪大名誉教授の話 
がんで変化する血液中のRNAのバランスを突き止めた例は初めてだろう。
臨床研究を進め、さらに検査能力の高さを実証できれば
簡便ながん検査を広める足がかりになるという。